ゲーミング・イン・フェルノ

ゲームと趣味の雑記帳

セツなさみだれうち

f:id:lennlenn:20200903202518j:plain さらさらゲーム感想日記。本日は一人プレイ用人狼ADVゲーム、グノーシア。開発はプチデポット。

 人狼ゲームがモチーフのADVというとケムコのレイジングループなんかを思い出しますが前者が伝奇ホラー調でルート選択式のノベルゲームなのに対し、こちらはSF世界でNPCのAIを相手にバーチャルな討論を行うといった物。プレイする前はどんなもんかと思いましたがこれがちゃんと人狼ゲームになってまして、例えば人狼ゲームがしたいけど一緒に遊ぶ相手が居ない様なおひとにはぴったりですね。はい、ありがとうございました。

 

 舞台は閉ざされた宇宙船。知性体グノースに汚染され人の中に紛れ込み人を襲う存在グノーシア。一見しただけでは誰がグノーシアかは分からず、グノーシアも正体がバレない様に嘘をつく。誰が怪しいか討論したり1日1人限定でグノーシアかどうかを調べられるエンジニアの情報を吟味したりして、投票で選ばれた一人をコールドスリープ送りにするとその夜生き残ったグノーシアは1人の犠牲者を選び消滅させる...といった感じでゲームルールはSH設定ながらオーソドックス人狼ゲームといったところ。討論はコマンド選択でサクサクと進み、ゲームテンポは非常に良い。最後までストレスなく進めまられした。

 

ゲームが終わればまた1日目の頭にタイムリープし、ループを抜け出すための手がかりを見つけるためにこの戦いを繰り返す...といった様なストーリー。頼れる協力者と共に宇宙船の乗組員達にまつわる情報を集めて行くことで新たな展開やイベントが始まる。

 乗組員は一見喰えない変わり者でも交流して行くうちに秘めた熱い思いが見えてきたり、逆に一見まともな奴が強烈な一面を見せてきたりと皆個性的。終わる頃には愛着が湧いて別れがたくなっちゃうキャラ達でとても良かった。

 協力者であるセツと皮肉屋なラキオあたりが好きなキャラです。特にメインパートナーであるセツと共に迎えるクライマックスは胸の中に光と空洞を残すようなアンビバレンスな余韻がとても良かったですね。

 

 ところでキャラの魅力に関連した話で、このゲームは先述した様に各役職の特殊能力から導き出される情報の食い違いなどから隠れたグノーシアを探しだす頭脳戦...なのですが、このゲームの真価はもう一段別のところにあったり

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 人狼ADVの名作レイジングループの主人公何某は人狼ゲームは知略戦に見えて、政治戦にこそ肝があると言ったとか言わないとか。

 

 グノーシアもその例に漏れず、議論に参加するNPCたちはそれぞれ固有の好みや性格に基づいてグノーシアや協力者を探し、議論を進めたり引っ掻き回したりする。

 ある者は圧倒的なカリスマ性で周りの意見をまとめ上げ、ある者は目立たないように静観を決め込み投票を免れようとする。仲の良いキャラ同士は放っておいても協力関係を結んだりするけど、逆に普段交流が見れらないキャラ同士の同盟が成されてるならそこには何かの企みから来る利益関係があったり無かったり。論理的思考を重んじて議論を進めようとしてるのに、口が悪く他のメンバーに嫌われやすい性質のキャラが取り敢えず、と言った流れでコールドスリープされやすいのが印象に残りますね。あるある。

 プレイヤーはその中に飛び込んで自分の意見を通すために存在感を出しつつも反感を買いすぎない様に立ち回らなくてはならないと言う塩梅が面白い。愛嬌で投票を回避しようとするキャラをなんとか周りを説得して追い詰めよう思ったら、逆に四面楚歌になる事も。プレイヤーも「かわいげ」や「カリスマ」などのステータスを伸ばすことで様々な性格を持った登場人物として、議論の混沌の中でそれなりの扱いを受けることになる。確実にグノーシアが分かってるのにかわいげのステータスが足りなくてみんなから塩っぱい扱いを受けるところの世知辛さなんかが印象に残りますね。あるある。

 集団生活の中で自分のポジションを守り、相対する敵を排除する為に現代社会で必要なストラテジーを学べる良いゲームですね。そうかな?

 

 そんな全ての社会性動物達におすすめの名作人狼ADVグノーシアの感想日記でした。まだ主人公の初期設定次第で見られるイベントが残ってるみたいなので、和らぎを忘れず回収して行きたいところですね。はい。